<特別>
うにゃぁぁぁ…
ば、バスの時間がっ迫ってるぅ。
あたしはパタパタと昇降口に向っていた。
どーしてあたしはいつもこうなんだろ…
慌ててかばんを脇において靴を履き替える。
「ゆかさん?」
はぇ?こんなときに誰だぁ!
あたしが声の方に顔を向けると、
「グスタフ先輩!」
下駄箱の脇からグスタフ先輩が、驚いたようにあたしを見ていた。
「やっぱりゆかさん。どうしたのですか?あれからだいぶ時間が経っていますが…」
先輩が心配そうに近づいてくる。
あう…(汗)
まさか先輩の事を考えていたとは言えないよぉ。
うーん、どうしよう。
「ちょっと、あって…」
しどろもどろ。
でも、前よりも顔が熱くない。ほんのりとは熱いけど。
なんか恥ずかしくて下を向いてしまう。
「そうですか…」
「はい…あ、で、でも先輩もお、遅いですよね?」
あたしが珍しく質問したら先輩は驚いたような顔をした。
お、おかしいかな?こんな事聞くの…
「職員室に用があったものですから。すっかり遅くなってしまいました。」
先輩は少しうれしそうに答えてくれた。
職員室に行くのがそんなに嬉しいのかな?
あたし職員室嫌い…
あれ?職員室って…
「あ、あれ。も、もしかして最初から職員室に用があるからあそこを通っていたんですか?」
あたしは先輩の顔を見るように顔を上げた。
まだほんのりとは熱いけど、前よりは平気。
先輩、少し困ったようなかおしてる。
やっぱり…
「すみません…あたしが教室で練習してたから…」
「そんな事は…」
「す、すみません…」
あたしは頭を下げた。
先輩に迷惑掛けちゃった…
そう思ったらものすごく罪悪感が心の中に広がって…
はうっ、ま、また涙が…
だ、だめだよう、自分!!
「本当に…ごめん…なさ・・い。」
今日2回目だからかぽろぽろと涙が出てくる。
「ご、ごめ…んな…さいっ。」
変な気持ちがごちゃごちゃしてきて…
自分でもわけわからなくなってきた…
「ゆ、ゆかさん?」
先輩が心配そうに声をかけてくれる。
「だ、大・・丈夫・・ですっ…」
先輩に心配を掛けちゃ・・いけないっ。
あたしは、必死に涙をこらえようとしたのだけど…
手で顔をぬぐうようにしても…
涙が止まらないっ
はぅ…なんで?
わけわかんないよぉ…
そのとき。
ふわって…
ほんとにふわって、先輩があたしを抱きしめてくれた…
うにゃぁぁぁぁぁぁ!
「!…せ、先…輩?」
あ、あたしはどうしたらいいのかわからなくて…
涙が一瞬とまった。